身の上話

NHKでドラマが放映されるようになって、原作本に興味がわき、図書館に予約を入れておいたら、すぐに取り置きメールが来たので、その日から読み始めた。22歳の、海辺の田舎町にある書店員ミチルの話。ドラマタイトルは「書店員ミチルの身の上話」。きっかけは、ほんの小さないたずら心。月に一度、東京から出版社の営業としてやってくる男を駅まで見送るつもりで仕事を抜け出したのに、「じゃあ、また来月ね」が、「来月はお盆休みだから、今度は秋だね」の相手の一言から、そのまま飛行機に乗って東京まで着いて行ってしまう。歯が痛いので、歯医者に行きたいと言って出てきたまま、宝くじを買うおつかいだけを頼まれて、ミチルはそのまま何年もあちこちを彷徨う運命となる。いかにもありがちな日常と、まったくありがちではない宝くじの高額当選。守れると思って、いつも肌身離さず身に着けていたリュックサックの中の秘密も、それはいとも当然に周囲に知られていて、自分への好意を安易に利用していた幼馴染の報いか、当然の因果か、一つ狂った歯車は、どんどん不幸への階段を転がり落ちていく、という中盤からはあれよあれよの展開となっていく。サスペンスの内容も、殺しのための殺しというより、ストーリーに無理はなく、手練れた文章ゆえに、最後まで飽きさせずに読者を連れていく。最初から語り手として登場するミチルの夫が、なぜ妻のストーリーを語っているのか、その理由も最後の1ページまでわからない。2億円の宝くじ当選者が必ずしも幸福な人生を送れない、というお定まりの内容ではないのだが、そのあまりにもお粗末なその場その場の選択によって、結局は身を滅ぼしてしまう、という内容だ。ミチルの人生はあまりにも愚かで、悲しい。そして、この小説で一番リアリティがある人物が、職場の同僚、安藤サクラ演じる初山である。そして、安藤サクラも、ものすごく上手い。

インフルエンザか?

この冬は風邪引かないなぁ、すごいなぁ、と思っていた。風邪を引いた人には、思いっきりエバって「まだ、風邪引いてません!」と豪語していた。が、しかし。金曜日はまだ咳がコホンコホンと出ている程度だったが、土曜日になって、微熱が出始めた。喉が痛く、身体の節々も痛くなってきた。体温計で計ると、体温は37度ほど。まだ微熱って感じだ、と高をくくっていたら、日曜日、熱はどんどん高くなり、寝ていても全身が痛く、食欲はゼロ。トイレに立つのも、水を飲むのもやっと。体温はいよいよ39度までになり、これは久々の高熱だなぁ、とひたすら眠る。風邪薬は家にはなく、病院へ行くほどの体力はないので、何かをしようと思ったら、鎮痛解熱剤を飲んで、しばらく熱を下げ、少し楽になったと思うと、やがてまた高熱になって、という繰り返し。月曜日、お弁当を作らなければいけないので、38度あった熱を薬で下げて朝ご飯の支度もし、少し食べる。さて、横になろうとしていたら、今日期限の税金の支払い、諸々の用事を思い出し、少しやつれた顔に化粧をし、電車に乗る自信はなかったので、自転車で出社。会社に出てみると、寝ていた時ほどの痛みもなくて、作業をこなせている。しかし、髪は寝癖がついたまま、目はしょぼしょぼである。「インフルエンザか?」というメールをデザイナーに送ったら、「インフルエンザです!今すぐに病院に行ってください!」という赤字いっぱいの返信が来た。でも、まだ行ってない。

ジブリ

一ヶ月ほど前から、ブレーキを掛けるとヘッド回りがカクンカクンとして、どこか緩んでいるような不穏な状態で、ショップへ行かなくちゃ、と思いつつ年越し。なかなか時間が作れずにいたところ、週末ようやく三鷹の店長のところに行くことができた。日曜日の夜、電話をすると、「一旦出かけますけど、8時半頃戻ります」というので、その時間に合わせて自走することにした。この日、車がなくて、しかも夜なのに気温が8度もあって暖かい。ラジオを聴きながら、真っ暗な道を三鷹へ向かう。店は棚卸の最中で学生アルバイトの二人が黙々と作業中。「こりゃぁ、ヘッドだなぁ」と店長があらゆるところを締めてくれる。「ブレーキシューも減ってるし、バーテープも巻いてほしいんだけど」「お客さん、困りますね、こんな時間に‥‥」って、自分の愚痴も吐きつつ、作業は終了。ヘッドのガタツキはなくなって、ついでに新しいチェーンオイルをたっぷりと差してくれた。写真は、店長にもらったスタジオジブリのがまぐち。名刺入れに使うことにした。刺繍は、内側、表、裏、とすべて違う絵柄で三か所に入っていて、ディテールにこだわったジブリらしい作り。


送電線

今週は平日ほとんど走れなかったので、週末に集中して走った。土曜日は久々の砧公園外周コース。昼過ぎに外へ出たら、少し寒かったものの、走り出すと風もなく、ちょうど良い天気。砧公園に着いて、公園の周りをトコトコと走る。3kmのコースを3周して戻ると、ちょうど15km。帰りに世田谷通りにあった無人野菜販売所でネギを100円で買って、そこからは右手にネギを持って走る。きちんと走ったので、シャワーを浴びたら、眠くなってソファーで昼寝。起きると夕方だった。翌日曜日は、さらにいい天気.成人の日が雨予報だったので、3回洗濯機を回し、掃除もやって1時に仙川へ。飛ばしていたのか、気温が高いのか、汗がボタボタ。中央高速の下の公園で水を飲んで折り返し。上を見上げたら、送電線が五線譜のようになっていて、10個の音符? いやいや、ゴンドラに人が乗っていて、電線の点検をしているのか、その光景はまるでSF映画のようだった。22kmを2時間10分で帰宅。大臀筋が痛い。

初詣

「自転車なら、車で通りすぎてしまう景色に気づきます」なんて、当たり前に書いていた常套句。それでも、自転車だと気づかない景色が、歩いていると気づくこともある‥‥。二子玉川から自転車で帰ってくると、246号や、その一本内側の市道をかなりの勾配で上って来なければならない。商店街を抜け、NTTの前を通るその道は、ちょうど最後の勾配がきついので、一生懸命上る上り坂。そして、その日は同行の二人ともシングルギアであったので、到底上れず、諦めて押し歩きしていた。と、目に飛び込んだのは神社の長い階段。これもかなりの急こう配。「瀬田玉川神社」と書いてある。世田谷に住んで26年、何度通ったかわからないこの道に、まさか神社があるなんて。こういう機会でもないと行くこともないので、自転車を置いて、その高台の神社で初詣。「歩いていると、自転車では通り過ぎてしまう景色に気づきます」って、改めないといけない。そして、この年末年始は、6日の野川30km走をふくみ、走った距離はトータル90km。ただし、そのうちの60kmはおしゃべりランなので、かなり腹筋を鍛えられている。

箱根駅伝

お正月の唯一の恒例行事は、箱根駅伝応援ツーリング。応援場所は横浜・生麦~子安区間、10区鶴見中継所まで5km手前の辺り。往路でいえば、花の2区なわけで、区間で二番目に長い23.2km、ほぼ平坦なコースながら、復路も向かい風だったこの日、選手はみな疲労困憊。苦しそうな表情で駆け抜ける。国道15号線は二車線で、この辺りは沿道から選手までの距離がものすごく近い。母校早稲田は、この区間の序盤で駒沢に抜かれ、一つ順位を下げて5位。先頭の日体大から、東洋、明治、と各校間隔が空いていて、早稲田が前に迫る雰囲気はここではまったくなかった。横の60代後半とおぼしきご婦人は、駒沢の紫の旗を手に、ガイドブックを見ながら応援。選手が通過すると、「あら、顔が小さくてカワイイわ~」なんて、まるでアイドルを見るように声援をおくる。「その旗は買うんですか?」と聞いてみると、「これね、叔父に渡されたの。その叔父は来てないのよ」と、駒沢とは無関係を強調。そして、全員が通過すると、「あら、明治のタスキが、タスキが、って言ってる。何かあったみたい」と、イヤホンで聞いていたラジオの情報を教えてくれた。急いでワンセグをつけてみると、さっきまで順調に走っていた明大9区のランナーがフラフラで、鶴見中継所にたどり着く手前、すでに三人に抜かれたらしい。その後、順大にも抜かれた明治は、結局順位を4つ下げて7位。一つのブレーキもなく、約20kmを10人が無事に走ったチームが優勝する。帰宅後、同時録画を見直して、さらにダイジェスト番組を往復見て、と箱根は何度でも楽しめる。

ウインドブレーカー

トライアスロンチーム、チーム2バタのウインドブレーカーが出来上がった。2年前のチームジャージにつづく第二弾で、同じ配色で作ってある。この世にたった5枚の限定モデルである。デザインは、東京マラソンで応援に行った時に、ランナー・リカちゃんに「きれいなお姉さん」と言われたモトダテデザイナー。スリムウインドブレーカーなのに、着る者全員スリムでないので、サイズはL。次回、揃ってお目見えするのは、5月の東京-糸魚川である。

ローストビーフ

「自転車買って3年になるのに、まだチェーンに油も差したことないの。ねえ、油って、ミシン油でいいの?」アラフィフだというのに、未だ乙女キャラ全開のミユキさんが、ジムの風呂で自分のクロスバイクのことを心配している。「なんか、変速がね、ちゃんとできなくて、途中で変わっちゃったりするのよ」。チェーンは洗浄してオイルを差せばいいけれど、変速はワイヤーが伸びているかもしれないので、これは三鷹の店長のところに持っていかないと、と日曜日の昼頃待っていたら、ミユキさんが「お待たせ~」なんて、ニットワンピ姿で現れた。「遅いよ」と、久々のエスケープに乗ってみると、変速がうまく入らない。「じゃあさ、うちでチェーンを洗ってから、車で持って行こう」「えぇ~、行ってくれるのぉ」だって、乗って行ったら、いつ着くかわかんないし。急きょ、車にクロスバイクを載せて、三鷹へ。店長は、あらゆる箇所を点検し、増し締めし、さらに自分で乗ってみて、すべてのメンテを終了した。その日のサウナで、「今日さ、チェーンやってもらったら、うちで栗羊羹でも食べてもらおうと思って準備してたら、栗羊羹がないのよ~」「夜中に自分で食べちゃったんじゃないの」「おかげで、探し物してたら、随分部屋が片付いたけどね」「なんだ、ほんとは栗羊羹食べられたわけ?」なんて話をしながら、翌日はクリスマスイブ。ローストビーフを作ったが、和食党の家人の反応はイマイチだった。

カヴァタッピ・スペシャル

構成員わずか3名によるチーム2バタの忘年会。築地・カヴァタッピで開かれたスペシャルメニューは、オーナーシェフ・朝賀さんによる豪華なコースだった。パイレーツ・オブ・カリビアンよろしく、黒いターバン姿でいつものようにテーブルでオヤジギャグ飛ばしながらサーブする姿はなく、黙々と厨房で腕をふるってくれていた。何品食べたか記憶にないほど、魚あり、ステーキあり、カルパッチョにピザに、イセエビのパスタに、と本当にお腹いっぱいのクリスマス・スペシャル。せっかくのメインディッシュは、すぐに食べてしまって、やっとデザートになって写真を撮ることができた。カッピーさくらラスクは、ヤングのお土産の志木市の新しいドルチェ。カッパがカッピーって、ゆるキャラのネーミングはいまいち、理解に欠ける。桜の香りがするラスクは、ラベルの想像からは程遠く、甘くてサクサクでとても美味しかった。

来年の手帳

今年も押し迫り、いよいよ残すところ10日である。気ばかり焦るが、年内に終わらせることがまだまだ沢山ある。それを一つ一つこなして、気がつけば御用納め、という毎年のパターンになるのだと思う。時間があるときに、と思い立って、来年の手帳とカレンダーを買いに行く。手帳は、毎年違うものを買っている気がする。今年は、以前に使っていたファイロファックスの革の手帳にレフィルを差し替えたもの。去年はクオバディスのレフィルを替えたもの。どれにしようかな、とハンズのダイアリーコーナーをうろうろして、ようやくciakのデュオダイアリーにした。半分は手帳、半分はノートになっていて、カバーも2パターン。選んだのは、デュオというスタイルが気に入ったわけではなく、手に持ったときの手なじみがよかったから。ゴムバンドも必須である。よしよし、これで手帳も揃った、と仕事場に戻ると、グリーティングカードが届いていた。今年、一緒に仕事をした外資系企業から、2つの部署から2通。年賀状もうれしいけれど、こんなふうにふいにカードが届くのはとてもうれしい。外は寒風吹きすさぶ今日なれど、心はほんわかと温かくなった。