小春日和

まさに今日のような日のことを言うのだろう。南向きの窓を全開にすると、日差しが注いで、ぽかぽかと温かい。
ただ座っているだけで、とても幸せな気分になる。
季節が夏から秋に、もうすぐ冬へ移行しようとしている時期に、春の温かさを感じている。
ちょうどひと月前、糸魚川スポルトへ出かける日は、暑くて暑くて、冷房を付けていたのに。

木枯らしの冬までの、ほんの束の間の自転車日和。メモ用紙とカメラをバッグに入れて、ポタリングに出かける。
机の前にだまって座っていても、なかなかいいアイデアは浮かばないので、街の風景や人や、自転車を眺めながら、思いつくまま、気の向くままに走ってみる。
井の頭通りから、青山通り、キラー通り、外苑西通りと行くが、最後はやはり新宿にたどり着いて、うろうろする。
予備校時代から大学、勤務先と、8年間新宿に通った。この雑多な街が妙に落ち着く。
夜中も明け方も、いつも新宿だった。
そのうろうろしていた新宿三丁目あたりでお茶を飲み、メモ用紙にあれこれと書き込む。
隣は、あれこれと声に出しながら販売計画を書き込んでいるアパレルの販売員の女子二人、その横は杖を突いて、やっと歩いている足の不自由なお父さんに付き添う奥さんの二人。
新宿三丁目には、あまり今風のおしゃれな若者はいないけれど、しみじみと人間臭い人が沢山いる。