早いもので、佐渡から3週間が経った。でも、あの暑さが嘘のように、そしてあの時晴れたのが最期のように、9月は晴れない。撮影に行きたいのに、まったく晴れない。最後の日曜日、およそ3週間ぶりに晴れて、その日はたまライドだった。ハーフの高校生が参加した。185cmの長身で、カナダ人の優しそうなお父さんが車に自転車を乗せて送ってきた。家が近くだったので、帰りは責任を持って送り届けると約束すると、お父さんは「それは助かります」と言って帰っていった。今まで40kmしか走ったことのない一人息子を心配していた。少ない人数だったので、自己紹介をして、すぐに打ち解ける。彼も「人と走ったことがないので、何か気をつけることはありますか」なんて、ところどころ大人びていた。コーヒーショップでアルバイトした資金で買ったスペシャライズドのロードは、長身の彼らしく、ヘッドチューブが異様に長い。玉川上水を走っていると、「多摩川はいいね。井の頭通りは車が多くて嫌い」と、羽村の方向を向いて言っていた。大人たちに挟まれて、無事に帰り着き、約束どおり、一緒に多摩川を走って帰った。途中、一般道路を走っている時に「すみません、シリアルバーを食べたいので、多摩川で止まってもらっていいですか」と言う。走りながら食べられないみたいだった。結局、狛江近くのコンビニで休憩したのだけど、「もう57kmも走ってる。今まで40kmしか走ったことないから、疲れちゃったよ~」とバーをほおばっていた。少しハンガーノック気味で、汗を拭き拭き「今日は暑いね~」と、許容量を超えたのか、急に子供っぽくなる。100Kも申し込んでいるので、「じゃあ、次は100kmだね」と言うと、「(アップ&ダウンが)大変?もっと練習してきます」と、にっこり笑って帰っていった。春から、京都で美大生になるらしい。