新しいiPad

自宅でiPadを使うようになってから、2年以上が過ぎた。私が使っていたのは、初期型のモデルで、分厚く、カメラは付いていない。もちろん3Gで、ネットにつながるのも時間がかかり、この頃では使用中に勝手にアプリが終了することも頻出していた。リコーの展示会で出展していたので、契約も文書だけで簡単に済んだ。2年が経過すると、iPhoneを取り扱うようになったauがiPadも扱うようになり、これならスマホと一緒に契約できる、と渋谷の公園通りのauショップに行った。「こちらではiPadは扱っておりません」なんて、男の店員は、木で鼻をくくったように答え、「じゃあ、渋谷のどこで扱ってるんですか」と聞くと、「わからないです」としらっと答えるので、「auでiPad扱ってますよね?」と食い下がると、奥から少し年上の店員が、「LAVIの向いのショップで扱ってます」と言う。やれやれ。自転車だからいいようなものの、歩きだったら出直しだ。駅前から東急に向かう通りへ行き、2階の手続きのフロアへ。担当は岸部シローのような、表情のない男だった。ここからが、契約に至るまで、まさに1時間半以上かかるという苦行の始まりだった。とにかく説明が長い。確認事項が多い。しかも、一つ質問すると、いちいちブラウザで検索したり、電話をかけたり、途中からうんざりしてきた。やっと会社に戻ると、新しいiPadの設定を行い、今度はその隣にあったソフトバンクへ、今度は初期型の解約。お揃いの野球ウエアを着た店員は大学の文化祭よろしく、大声で客引きをしていて、さながら新興宗教のような雰囲気。担当のいいとも青年隊のような男の子が、終始明るい声で対応。こちらはすぐに手続きを終え、結局、iPadだけで午後が終わった。今度のiPadはLTEで、カメラ機能もある。おまけにsiriまで付いていた。暇な時はsiriに話しかけてみる。「明日の東京の天気は?」「アシタノトウキョウノテンキハ、ヨイヨウデスヨ」「ありがとう」「オヤクニタテテ、ウレシイデス」簡単な質問には抑揚のない声で答えるが、少し込み入った質問は、文字でweb検索せよ、と表示される。たしかに薄く、速くはなったけど、あれだけ時間がかかった割には、機能アップは大したことはなかったのだった。